最近、街中でよく見かける、
高級食パンのお店
について、知りたい。
こんなテーマに関する記事です。
高級食パンのお店のビジネス事例について紹介しています。
最近、街中で、いろんな名前の「高級食パン」のお店を見かけることが増えました。
ちょっと、
乱立している
ような感もあります。
実際、閉店している店舗もありますので、ブームの過渡期なのかもしれません。
閉店店舗については、「閉店どっとこむ」というサイトチェックできます。
サイト内の検索箇所で、「食パン 閉店」でみると、直近の閉店店舗が確認できます。
もちろん、全ての情報を網羅している訳ではありませんが、参考にはなります。
2023年の10~12月で、
閉店;21店舗
でした。
しかしながら、順調に店舗を増やしているブランドもあり、ビジネス展開のヒントもありそうです。
下記に、ポイントについて考察していきましょう。
「乃が美」さんと、「銀座に志かわ」さん
高級食パンのスタート期におけるブランドといえば、「乃が美」と、「銀座に志かわ」をあげることができます。
ただ、実際は、「乃が美」さんのほうが、創業も古く、実績があります。
ただ残念なことに、店舗の業績不振などを背景に、
フランチャイズ本部と加盟店のトラブル事案
もいくつか表面化している状況があります。
「乃が美」
創業のきっかけについては、公式ホームページで下記の内容の記載があります。
私が、定期的に慰問していた老人ホームで「食べているときと笑っているときが一番幸せ。でも朝食に出るパンは耳が固くて食べられない」というおじいちゃん、おばあちゃんの声を聞き、「『耳まで柔らかいふわふわの食パン』を食べさせてあげたい。」という思いから始まりました。
https://nogaminopan.com/
銀座に志かわ
2018年9月に銀座で事業をスタートしています。
「水にこだわる高級食パン」が特徴で、アルカリイオン水を使用しています。
運営会社の設立が2018年5月と、比較的新しい会社で、株式の41.6%は、上場企業で、浄水器などのメーカーの株式会社OSGコーポレーションが保有し、41.6%の株式を保有している株式会社コイサンズは、運営会社の代表取締役高橋仁志が以前より経営していた会社(三重・愛知でベーカリー等を運営)となっています。
Wikipedia
高級食パンが注目されたきっかけ
さて、高級食パンが受け入れられるようになった下地としては、
セブンイレブンの「金の食パン」
の存在があります。
セブンイレブンの「金の食パン」は、2013年4月に発売されて、
発売から4カ月で販売個数1500万個を突破する
という大ヒット商品になっています。
当時、「金の食パン」は、
厚切りの食パン 2枚入り125円、6枚入り250円
という価格設定になっており、これまでの食パンの価格帯からすると、かなりの強気設定の金額です。
東洋経済の記事によると、セブンイレブンの担当者の、
https://toyokeizai.net/articles/-/20468?page=2
「松・竹・梅でいえば、松にあたる食パンがなかった」
というコメントがあります。
確かに、当時、スーパーなどの食パンの価格帯は、どのメーカーも概ね同じで、また、特に高級な商品はありませんでした。
また、セブンイレブンでは、当時、食パンだけに限らず、「金」のシリーズで、
高級な商品のラインナップ
を増やす戦略でしたので、
時流が高級なものを求めている
ということを読んで、マーケティングを行っていたことが読み取れます。
この2013年という年は、「乃が美」さんが創業された年とも一致します。
少なくとも、当時、
金の食パンが、ヒットしたこと
で、
高級志向の商品が受け入れられる下地がある
ということが認識できたということがわかります。
高級食パンの特徴
高級パンの特徴としては、やはり、
・そのままでもおいしくいただける(みみの部分も含めて)
・ふわふわで甘みが感じられる
ことにあります。
これは、原材料に、バターあるいは、マーガリンや生クリームなどを使っていることにも起因します。
また製造方法も、基本的には、市販のパンと異なります。
ストレート法
高級食パンの場合、
ストレート法
という製法で作られる場合が多いようです。
これは、最初から全ての材料を混ぜ合わせて生地を作ったあと、発酵から焼き上げを行う製造方法です。
作業工程がシンプルで、家庭でホームぺーカリーでパンを作る場合も、この方法になります。
フランスパンなどや、デニッシュパンもこの方法になります。
ただ、この製法の場合、すぐ風味が落ちてしまうため、日持ちがしにくいというデメリットがあります。
フランスパンのお店でも、一度に大量に焼き上げるのではなく、少量づつ何回かに分けて、焼きたてを店頭にだす形にしているケースが多いです。
日持ちがしにくい為、高級食パンの場合、生で早めに食べるのを推奨しているお店が多いのは、この為です。
ただ、「乃が美」さんの場合、オリジナルな製法の為、2日以降の味にも自信をもっておられます。
中種法(なかだねほう
また、ストレート法以外の製法としては、「中種法(なかだねほう)」があります。
この場合、中種とよばれる発酵させて生地に、後から、残りの材料を加えて生地をつくる流れになります。
手間はかかりますが、日持ちするなど大量生産に向いており、大手メーカーの菓子パンもこの方法で製造されています。
高級食パンのビジネスの場合、
どのような製造工程で商品を提供しているのか
で、味、品質が大きく左右します。
主な高級食パンのお店
乃が美
銀座に志かわ
一本堂
俺のBakery
MIYABI(デニッシュ食パン)
※もちろん、上記以外にも、多くの高級食パンのお店があります。
【補足】俺のBakery
俺のフレンチなどを展開している、「俺の株式会社」さんでも、高級生食パンのお店を出店していたんですね。
「俺の株式会社」の創業者は、ブックオフを創業された、坂本 孝さんです。
下記に、「俺のイタリアン」を作られたときのお話しなどが載っています。
マーケティングについて
ここでは、高級生食パンの代名詞ともいえる「乃が美」さんのケースで考えてみましょう。
マーケティングのポイントとしては、いわゆる4P(マーケティングミックス)
Product(プロダクト:製品)
Price(プライス:価格)
Place(プレイス:流通)
Promotion(プロモーション:販売促進)
の項目でみていきましょう。
Product(プロダクト:製品)
商品の用途としては、
・家で食べる食パン
と
・贈答用
とがあります。
家で食べる食パンについては、高級志向のユーザーや、たまの贅沢といった需要を見込みます。
また、贈答用に関しては、これまで、
食パンの贈答
というカテゴリーが無かった為、新たな需要を掘り起こしたといえます。
また、贈答を送られたほうも、高級生食パンのブランドということで、価格も認識してもらえ、ある意味、ちょっとした手土産としてお手軽と言えます。
Price(プライス:価格)
1斤 486円(税込み)
2斤 972円(税込み)
商品バリエーションも絞って、シンプルな価格体系となっています。
Place(プレイス:流通)
「乃が美」さんの店舗の場合、基本、
住宅街の路地裏
の立地になっています。
いわゆる3等立地戦略といわれる形態です。
日常買いの商品の場合、住宅地に近いほうが良いともいえますし、なにより、
テナント費用を低く抑える
ことで、経営的なメリットがあります。
Promotion(プロモーション:販売促進)
「乃が美」さんの場合、雑誌やテレビなどに取り上げられることで知名度を高めていったという経緯があります。
創業の経緯など、事業自体に、ストーリー性があり、マスコミが取り上げやすい要因があったことが推察されます。
その他に特徴的なのは、店舗展開を行う上で、フランチャイズなどの形式ではなく、
『乃が美はなれ』
という、パートナーシップを取り交わした先だけが展開しています。
公式HPには、
https://nogaminopan.com/
「出店に際し、心意気の共鳴と、
半年以上におよぶ厳しい修練を経た店だけが、
晴れて乃が美ののれんを掲げることができます」
との記載があります。
例えば、中四国エリアは、下記の会社が展開しています。
他の高級生食パンの会社の場合は、当然、経営の方法も異なりますが、いずれにしても、
高級生食パンの商品特性
にあわせた効果的なマーケティングの方法がポイントになってきます。
まとめ
高級食パンのお店がかなりの勢いで増えていますので、若干、過熱気味の様相があります。
中には、奇をてらった名称(ふざけたような名称?)のお店もあり、ビジネスとして疑問符がつくようなケースも見受けられます。
実際、短期間で閉店しているような店舗もあります。
また、フランチャイズ展開している場合や、店舗開発のプロデューサーが支援しているようなブランドもありますが、あまりブームに踊らされずに、
製造品質も含め、しっかりとした経営をしているブランドかどうか
をしっかりと見極めて判断することが大切です。
現状では、いわゆる「高級食パン」ブームは、過ぎ去ったと言えますので、慎重に検討すべきといえます。
以上、「高級生食パン」ビジネスについての考察についてでした。